水滸巡礼~108の足跡 ~第4回蒋敬(しょうけい)

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武術と算術を併せ持つ
梁山泊の会計管理専門

蒋敬は梁山泊に入山する前は、黄門山と呼ばれる山賊の一味であった。
元は書生として学問の道を進んでいたが、官吏採用試験「科挙」に落第し、山賊に身をやつす。
槍棒を使い、兵法にも通じたが、類まれな算術の能力を持つことから、「神算子」と呼ばれる。
山賊時代は軍師として活躍し、当時から何千何万という単位の計算も、狂いなく暗算することができた。
そんな蒋敬らはある日、宋江ら梁山泊の軍が自分たちの縄張りの近くを通るという情報を得る。
宋江はちょうどその時、潯陽楼と呼ばれる場所で、酒に酔い、反朝廷の詩を壁に書いたことで、官軍に追われていた。
彼らは、そんな義賊として天下に名高い梁山泊軍を見てみたくなり、それらしき一団が付近を通りかかると、わざと襲撃する素振りを見せる。
しかし彼らが梁山泊軍であることを確信すると、非礼を詫び、潜窟に招待した。
宋江も彼の実力を認め、仲間入りを打診。
そして蒋敬はほかの山賊らと共に、梁山泊に加わったのだった。

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入山後は軍事よりも、金銭や食料の出納管理を任され、軍の組織強化に、その頭脳を発揮。
以後戦場に立つことがなくなった蒋敬は、晩年は故郷に戻り、平穏な生活を送った。

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蒋敬が宋江に出会ったエピソードの舞台となった江西省九江市。
長江の流れる町として、古代の詩人や高僧がこの町の美しさを称賛した。
黄門山がどこに所在していたかは不明だが、宋江が謀反を表す詩を書いた潯陽楼は今も残り、唐の詩人・白居易の作品にも登場する。
梁山泊では裏方として、軍に貢献した蒋敬。
この地で彼は、雄大な長江の流れを見て何を思ったのだろうか。

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~北京ジャピオン2013年1月28日号

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