水滸巡礼 ~108の足跡 ~馬麟(ばりん)

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梁山泊に鳴り響く笛 二刀流で戦場を彩る
馬麟は、欧鵬(おうほう)率いる山賊、黄門山3番目の頭領。
欧鵬が宋江に出会い、梁山泊に加わることを決意すると、彼に従い、蒋敬(しょうけい)ら、ほかの仲間とともに入山。
物語では、彼に関して次のような詩が詠まれている。
「鉄笛一声山石烈 銅刀両口鬼神驚 馬麟形貌真奇怪 人道神仙再降生
(鉄笛をひと吹きすると山石は裂け、双刀は鬼神のように凄まじく、怪奇な風貌で、仙人のような人間が舞い降りた)」。
この詩からもわかるように、馬麟は笛と刀に長けた人物で、人々から「鉄笛仙」と呼ばれていた。

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もとは街のゴロツキだった馬麟。
その頃から、「消魂無双笛」なる笛を吹き、無頼ではあったが、その腕は確かとされていた。
梁山泊に加わってからは、一行が集まる宴の席で、笛の腕前を披露するなど、宴に華を添える役目も。
そして戦場では、双刀を振り回す武人として活躍。
100人を相手にしても引けを取らないと評され、「祝家荘の戦い」では、同じく二刀流の敵将、扈三娘(こさんじょう)との一騎打ちを繰り広げる。
4本の刀が飛び交い、火花を散らす戦いは、見る者が息を呑むほど壮絶だった。
最期は、杭州の戦いで、敵軍の猛攻に最後まで抗う中、敵将の投槍を受け、軍人としての生涯を終えた。

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馬麟が育った南京市江寧区。
街には長江水系の川が流れ、「湯山温泉」など、水資源が豊富な場所として知られる。
また、将軍山風景区、方山風景区など山が多く、江寧の山と川が入り混じった風景は、李白や蘇軾など、歴代の名詩人によって詠まれた。
馬麟の笛も、この山々にこだましていたことだろう。

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~北京ジャピオン2013年3月11日号

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