水滸巡礼~108の足跡~王英(おうえい)

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女剣士に一目惚れ
夫婦で戦場を駆け巡る

王英は、清風山なる山塞で暮らす
山賊の一員。
槍の腕は立つが、相当な女好きで知られ、
身長は5尺(約160㌢)にも満たず、
丸い顔に鋭い眼つきという風貌に加え、
ことさら、足が短いことから、
「矮脚虎(わいきゃくこ)」と
呼ばれていた。

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ある日、流刑に処された宋江を助け、
仲間とともに梁山泊に加わった王英。
入山後、最初の戦となった、
祝家荘の戦いに参戦したが、
敵軍から、勇猛さと美貌で名を馳せた
女剣士、扈三娘(こさんじょう)が現れると、
相手が女と知った王英は、
我先にと一騎打ちを挑んだ。
しかし、あろうことか、
王英は勝負の最中に欲情してしまい、
槍さばきが乱れ落馬。
彼は捕虜となってしまったが、
後に梁山泊が戦に勝利し、解放された。
そして、扈三娘が投降し、
仲間に加わることに。
宋江は、王英のことを思い、
彼と扈三娘を結ばせた。
その後は、夫婦揃って戦場に立った2人。
王英も彼女一筋で、
かつての女へのだらしなさは
収まったかに思われた。
しかし、田虎(でんこ)の戦いで、
作中屈指の美女とされる将軍、
瓊英(けいえい)と戦い、
以前の悪癖が再燃して敗北。
最後まで、美女を前にすると、
闘志が削がれてしまう王英であった。

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王英が育った江蘇省淮安市。
かつては両淮と呼ばれた地域の一部で、
漢代の名軍人、韓信(かんしん)や
『西遊記』の著者とされる、
呉承恩(ごしょうおん)の出身地として名高い。
また、淡水魚料理などに代表される、
淮揚菜の本場としても知られる。
京杭大運河が流れる、
風光明媚な同地に足を踏み入れれば、
梁山泊の義に、女性への情に、
この地を奔走していた
王英の姿が浮かんでくる。

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~北京ジャピオン2013年4月1日号

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