水滸巡礼~108の足跡~段景住(だんけいじゅう)

261suiko-top

確かな眼識をもつ馬泥棒
晁蓋の死を招いた名馬

段景住は河北省保定市涿州市出身の馬泥棒。
武術の心得はなかったが、長い間、
馬を盗んでは売って生活しており、
良馬を選別する能力に長けた。
見かけは大柄で、赤い髪に黄色い髭を
たくわえていたため、「金毛犬」と呼ばれる。

261suiko-picture1

段景住が金国(現中国東北部)で暮らしていたある日、
梁山泊の噂を耳にする。
宋江の存在を知り、このまま泥棒をしていても仕方ない、
と入山を決意。
そして、「照夜玉獅子」と呼ばれる金国王子の愛馬を、
宋江への手土産にしようと盗んだ。
白毛の美しい馬で、1日に千里走ると言われた。
彼は馬を連れて梁山泊に向かったが、
途中、山東省の曾頭市なる地で、
山賊に馬を奪われてしまう。
曾頭市を取り仕切る山賊に太刀打ちできず、
馬を諦め、そのまま梁山泊に向かう道中、
宋江らに遭遇。
段景住は事情を宋江に話し、
義侠心に篤い宋江の計らいで、
馬奪還のため、山賊と対戦する。
しかし、この戦いで梁山泊頭領・晁蓋(ちょうがい)が、
敵の矢に当たり戦死してしまう。
かえって梁山泊に大きな損失を与えてしまったが、
段景住は馬の識別眼が評価され、
宋江に重用される。
彼はその後、軍馬調達や機密伝令の任に当たるなど、
戦の裏側で梁山泊を支えた。

261suiko-picture2

段景住が生まれた保定市涿州市。
『三国志演義』の劉備、関羽、張飛が
義兄弟の契りを交わした場所として知られる。
二千年以上の歴史をもち、
唐の詩人、賈島(かとう)や
宋の初代皇帝・趙匡胤(ちょうきょういん)など、
歴代の英傑を多数輩出した。
彼らとともに、この地を駆けた駿馬を見て、
段景住の眼力は養われたのだろうか。

261suiko-map

 

 

 

~北京ジャピオン2013年5月27日号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

PAGE TOP