水滸巡礼~108の足跡~凌振(りょうしん)

274suiko-top

 

天地を揺るがす轟音
砲弾で梁山泊を圧倒

凌振は官軍の出身で、かつては東京開封府(現河南省開封市)で
「甲丈庫(武器庫)」の管理を担当していた。
その一方で、火砲の製造と使用に長け、
「風火砲」、「金輪砲」、「子母砲」の、3つの大砲を開発。
これらは天地を破壊せんばかりの威力を持ち、
雷のごとき轟音を発したという。
そんな凄まじい砲弾を作り出す彼を、
人は「轟天雷(ごうてんらい)」と呼んだ。

274suiko-phot1

凌振はある日、朝廷から梁山泊討伐を支援するよう命じられる。
討伐軍を率いるのは、宋の名将、呼延灼(こえんしゃく)。
討伐軍は、戦法「連環馬(れんかんば)」で梁山泊軍に大勝したが、
周囲を水に囲まれた梁山泊を陥落させるには火砲が必要と考え、
彼に援助を求めたのである。
彼が命に従い、三発発射すると、見事山塞に命中。
その破壊力に梁山泊はなす術もなく、
圧倒されるばかりであった。
梁山泊は、砲弾を取り除かない限り勝ち目はないと、
闇夜に紛れて敵陣に忍び込むよう水軍に命じ、
砲台を水中に落とさせた。
凌振は船で水軍を追ったが、返り討ちに遭い、捕縛される。
処刑を覚悟したものの、
彼を高く評価していた宋江は礼を尽くし、入山を勧める。
そして、時を同じくして捕らえられた呼延灼の部下とともに、
ついに決意した。
その後も火砲の製造に関わり、砲隊を指揮。
これまでになかった飛び道具を扱う隊として、勝利に何度も貢献した。

274suiko-phot2

凌振が生まれた河北省邯鄲市磁県。
故事「邯鄲の夢」でお馴染みのこの地は、
春秋・戦国時代は、趙(ちょう)の国の都として栄えた。
彼が発した凄まじい砲音は、
遠いこの故郷にも響いたことだろう。

 

274suiko-map

 

 

~北京ジャピオン2013年8月26日号

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

PAGE TOP