水滸巡礼~108の足跡~陶宗旺(とうそうおう)

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鍬を武器にする多才な亀 
難攻不落の要塞を建造
陶宗旺はかつて、故郷の光州(現河南省潢川県)で
農業を営んでいた。
家業が行き詰まり、諸国を放浪していたところ、
黄門山なる山に迷い込み、山賊の一味になった。
槍や刀も使えたが、幼い頃から農業に携わっていたため、
鍬を武器として自在に操った。
武術のほか、土木に関する知識経験が豊富で、
その多芸多才を、9つの尾を持つ伝説の神亀にたとえ、
「九尾亀(きゅうびき)」と呼ばれた。

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ある日、陶宗旺は、山賊の長、
欧鵬(おうほう)と山を監視していたところ、
宋江一行が通るのを見かける。
天下に名高い梁山泊の首領に会いたくなり、
彼を山に招待して盛大にもてなした。
宋江も彼らの実力を買い、梁山泊への仲間入りを打診。
しかし、彼らが加入した直後に宋江が捕縛され、
陶宗旺らはすぐに出陣、宋江を無事に救出した。
この件で評価された欧鵬は、騎馬軍主力に配属。
一方、陶宗旺は前歴を買われ、梁山泊の道路建設、
水路の整備、農耕の任を命ぜられる。
山塞の規模が拡大していくに従い、
城郭の砦や柵、石垣の建築など、建設業務全般の総監督を
担うようになり、城郭をさらに堅牢なものにしていった。
後に難攻不落と言われた梁山泊は、
陶宗旺なしには築けなかったであろう。

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陶宗旺が生まれた河南省潢川県。
この地は、春秋・戦国時代、
現在の上海及び付近一帯を支配していた、
春申君の故郷としても知られる。
かつて黄国と呼ばれた潢川県には、黄国故城など、
その規模の大きさを物語る遺跡が残る。
今日、全国有数の農業地となった潢川県。
その土地は、陶宗旺がかつて耕したものだったかもしれない。

 

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~北京ジャピオン2013年7月8日号

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