水滸巡礼~109の足跡~周通(しゅうとう)

289suiko-top

 

桃花山の小さな覇王
魯智深との出会い

周通は山東省濰坊市青州市出身の山賊で、梁山泊に入る前は、同省の桃花山(とうかざん)で追い剥ぎ稼業をしていた。〝走水緑沉槍〟なる槍を使い、あだ名を「小覇王(しょうはおう)」と呼んだ。これは、覇王と呼ばれた秦代の武将・項羽(こうう)に外見が似ていたことに由来する。

289suiko-pic1

 

周通がある日、桃花山をうろついていると、薬売りの男・李忠(りちゅう)に遭遇し、対決することになった。結果、周通は李忠に敗れ、彼を山塞に招いて山賊の頭領になってくれるよう申し込む。こうして、李忠が第1頭領の座に就き、周通は彼を支える2番手に落ち着いた。

そして1年が過ぎた頃、周通が、麓の桃花村に住む娘に惚れ込んだ。婿養子になろうと縁談を迫り、強引に同意させる。そして初夜を迎え、周通が娘の寝室に入ると、寝具の中にいる花嫁は身体が大きく筋肉質で、しかも毛深かった。恐る恐る布団をめくって見ると、中から、入れ墨坊主の魯智深(ろちしん)が襲いかかってくる。娘の父親が、近隣の二龍山にいた魯智深に助けを求めたのだった。周通は得意の槍で応戦するも、さすがの魯智深には敵わず降参。その後、周通と李忠は魯智深を兄貴分として慕い、宋江に招聘され梁山泊入りする彼に付いて入山した。その後は騎兵軍で数々の戦に参加し、最期は方臘の戦いで敵将の刃に倒れた。

289suiko-pic2

周通が生まれ育った山東省濰坊市青州市。同市は古代、中国が徐州や梁州など、9つの地域に分かれ、「九州」と呼ばれていた地域の1つで、凧の発祥地としても知られる。周通は真の覇王になるべくこの地から梁山泊へ向かった。

 

289suiko-map

 

 

 

~北京ジャピオン2013年12月16日号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

PAGE TOP