おじさまたちの台所
看板のないシンプルな木の扉を開けると、人々のざわめきとともに広がるダイニング空間。
カウンターの奥には、ライトに照らされたお酒の数々が静かに出番を待つ。
そんなちょっといい雰囲気の「藏三味」に、引き寄せられるように集まる客は、一日の仕事を終えた単身サラリーマンたち。
彼らのお目当ては「イカリングフライ」（25元）や「マカロニサラダ」（25元）といった、ごく家庭的なメニューの数々。
外では威厳に満ちた態度をとっているような人も、料理の前では相好を崩し、童心に帰る。
そんな店の様子を、「おじさまたちの台所」と甲斐店長が称するのも然りだ。

５元で味わうグルメ
今回のゴチでは、「台所」の名にふさわしいメニューが登場。
日本へ一時帰国した際に食べたくなる「卵かけご飯」（通常20元）、または、昭和のご馳走「バターライス」（通常15元）のいずれかに「豚汁」（通常サービス）が付いて、たったの５元！
いまどき、屋台飯でも何が５元で食べられるだろうか。
ご飯の中央は凹ませるだとか、卵は溶きほぐさずに直がけだとか、こだわりや作法は多様。
だが、誰が何と言おうと自己流で、この素朴な一碗を堪能し、一日を終えたい。
口の中でほどけていくシンプルな味わいから、さて今夜は、どんな思い出があふれ出すのだろうか。

info
藏三味
―和風ビストロ―
住所:北京市朝陽区東三環呼家楼力行賓館内1階
TEL:010-6508-1317（日本語可）
営業時間:17時半～翌2時（ラストオーダー翌1時、日曜定休）
席数:26席
予算:150元

 

～北京・天津ジャピオン2015年4月13日号