水滸巡礼~108の足跡~李逵(りき)

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旋風起こる所に鉄牛あり
虎に襲われた母への純心

李逵は殺人鬼の星、天殺星の生まれ変わり。
「板斧(はんぷ)」という2丁の斧を使い、
歯向かって来た者は、女、子どもも容赦なく斬る。
むさくるしい髪に、
血走った目をした色黒の男であることから、
「黒旋風(こくせんぷう)」、
「鉄牛(てつぎゅう)」などと呼ばれた

 

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李逵は故郷で人を殺め、
江州に逃れてから、
牢役人の戴宗(たいそう)のもとで働いていた。
そんなある日、噂に聞いた宋江がやって来た。
李逵は、彼をもてなそうと、
金を手に入れるため賭博場に入ったが、
大負けして暴れ、店を壊してしまった。
しかし、宋江は李逵を慰め、
李逵は宋江の寛大さに感動し、
彼に付き従うことにした。
数カ月後、宋江が宋軍に反逆罪で捕らえられてしまう。
そこで李逵は仲間と救出に向かい、
先頭に立って敵城に入った。
見物人も含め、邪魔者はすべて斬り捨て、
宋江を救出。
無関係な者まで殺したが、
手柄を認められ、入山することに。
その後、李逵は故郷に残してきた母親が
心配になり、連れて帰ることにした。
しかし、母親と梁山泊に向かう道中、
母親が虎に食われてしまう。
李逵は涙を浮かべ、
狂ったように斧を振って虎を殺した。
李逵は山塞でよく騒ぎを起こし、
厄介者扱いされていたが、その実、
幼児がそのまま大きくなったような
純粋な心の持ち主だったのだ。

 

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李逵が生まれ育った山東省臨沂市沂水県。
山河が美しく、春秋戦国時代の兵法書
『孫子』の出土地として知られる。
梁山泊で暮らすため、母を迎えに再び
沂水県を訪れた李逵。
母を背負い、共に暮らす日々を楽しみにしながら、
幼き頃に過ごしたこの地を歩いたことだろう。

 

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~北京ジャピオン2013年6月17日号

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