水滸巡礼~108の足跡~秦明(しんめい)

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運命に翻弄された猛将
戦場に鳴り響く狼牙棒

秦明は、青州軍(現山東省青州市)の元長官。
武勇の誉れ高い丈夫で、「狼牙棒(ろうがぼう)」という
棘の付いた武器を得物とし、敵の兜や鎧ごと叩き潰すことができた。
勇猛だが、短気かつ剛直な性格の持ち主で、
雷のように大きな怒声を発したことから、
「霹靂火(へきれきか)」と呼ばれた。

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秦明はある日、青州の知事から、清風山にいる
宋江と花栄(かえい)を謀反の罪で
捕えるよう命じられたが、失敗。
下山し青州府に戻ったが、そこで焼き払われた家々と
民たちの死体に遭遇する。
聞くと、秦明の軍らしき一団が街を襲ったという。
身に覚えのない秦明だったが、
知事からは裏切り者として扱われ、
女房が処刑されてしまった。
行き場を失った彼は、再び清風山を訪ね、
ここで、街を襲ったのは、軍を装った清風山の山賊で、
すべては、梁山泊が彼を仲間に入れるための作戦だったことを知る。
秦明は血を吐くほどの怒りを覚え、宋江から、
世に不義を働いているは青州府の方であることを聞き、
仲間に入ることを決めた。
その後は、騎馬隊先鋒を務め、度々一騎打ちで勝った。
高唐の戦いでは、敵将を一撃で破り、
幽州の戦いでも、狼牙棒で敵将の頭を打ち砕くなど、
無類の強さを発揮してゆく。

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秦明の故郷と言われる、重慶市開県。
唐代から繁栄し、1800年以上の歴史を持つこの地は、
「挙子の郷(逸材を生み出す地)」と呼ばれ、
多くの名人物を輩出してきた。
霹靂火と呼ばれ、怯むことなく戦い続けた秦明も、
挙子と呼ばれるにふさわしい人物だったと思われる。

 

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~北京ジャピオン2013年9月2日号

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