水滸巡礼~108の足跡~燕順(えんじゅん)

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独特の風貌を持つ虎
官吏の妻を斬り殺す

燕順は山東省煙台市莱州市に生まれ、
牛や羊を売買する商人だった。
ある時、重税が科されて商売が立ち行かなくなり、
山東省の清風山を拠点とした山賊になった。
赤い髪に黄色い髭を蓄えた特異な容姿、
また、薙刀に似た武器「朴刀(ぼくとう)」の使い手で、
腕前も中々だったことから、「錦毛虎(きんもうこ)」と呼ばれ、
畏怖された。

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ある日、燕順の部下が山中である男を捕らえた。
燕順は、男の心臓を抉り出し肝吸いにするつもりでいたが、
その男は天下に名高い、あの宋江だったのだ。
燕順たちはすぐに縄を解き、もてなしていたところに、
女が迷い込んで来た。
女は麓にある村の悪徳官吏の妻だったが、
女好きで有名な部下の王英が、女を妻にしようと捕らえた。
しかし、宋江と燕順は女を放つことにし、
王英も渋々承諾した。
しかしその数日後、下山した宋江が、
この女に山賊の首領として訴えられ、捕縛される。
知らせを聞いた燕順たちは、救出すべく村を襲撃して、宋江を奪還。
王英は好機とばかりに女を捕らえ、再び妻にしようとしたが、
燕順は女を毒婦としてあっさり斬り捨てたのだった。
この手柄が認められて彼らは入山し、
山賊の仲間たちとともに、騎兵軍で活躍を見せてゆく。

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燕順が生まれた山東省煙台市莱州市。
山東半島北東部に位置する同市はかつて、
秦の始皇帝や漢代の武将・韓信(かんしん)など、
歴史上の名だたる人物が訪れた場所。
また、大理石の産地としても有名で、
その石を使った彫刻物の製造が盛んである。
この地を訪れ、水滸伝にその名を刻んだ、
この錦毛虎の足跡を追ってみたい。

 

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~北京ジャピオン2013年8月19日号

 

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