醜さゆえの悲運な人生
神の矢をも凌いだ武人
宣贊は、大地にその名を轟かす英傑の星「地傑星」の生まれ変わりとされる。
作中では、梁山泊五虎将の1人、関勝(かんしょう)の副官として活躍した。
官軍に属していた宣贊はある日、異国の将との弓比べに勝つ。
その功績により、郡王(王に継ぐ位)に婿入りすることに。
しかし妻は、鍋底のような顔、天を向いた鼻の穴、雷のように縮れた髪に赤ヒゲという宣贊の醜さに耐え切れず卒倒し、初夜に自殺。
この件が災いして、宣贊は閑職に追いやられてしまい、「醜郡馬(郡王の醜い娘婿)」と呼ばれるようになる。
そんな彼に転機が訪れる。
宋政府が梁山泊軍に包囲され、官軍の将であった関勝の副官を務めるよう命じられたのだった。
そして梁山泊の神箭将軍と恐れられた弓の名手、花栄(かえい)と対決する。
宣贊は花栄の射た3本の矢を、1本目は剣で払い、2本目はかわし、3本目は背当てで防いだ。
宋江は宣贊の武技に感服し、関勝と共に梁山泊に入山させる。
入山後も関勝の片腕として活躍した宣贊は、1120年の「方臘(ほうろう)の乱」の最中、敵と相打ちになり、軍人としての最期を遂げた。
「方臘の乱」は、実際に江南地方で起こった反乱だが、宣贊は蘇州市の飲馬橋に倒れたことになっている。
舞台となった蘇州は、世界遺産の留園や拙政園など、多くの庭園を有する。
当時も今と変わらない、美しき水の都として有名だ。
梁山泊の騎馬隊隊長として忠義を尽くし、蘇州に散った宣贊。
彼が最後に見た蘇州の水は、遠い梁山湖を思い出させたのだろうか。
~北京ジャピオン2013年1月21日号